鹿児島県硫黄島の熊野神社のご紹介です。
歴史に関心のある方は、ぜひ参拝してはいかがでしょうか?
CONTENTS
鳥居
フェリーの出航まで時間があったので集落を散策していると、立派な鳥居を発見したので、さっそく参拝してみることにしました。
かなり長い時の流れを感じる鳥居ですね。
参道を進むと、見事なお社が出迎えてくれました。
熊野神社はどのような神様を祭っているのでしょうか?
御祭神
安徳天皇(アントクテンノウ)
第81代天皇です。平清盛の孫に当たります。
日神(ヒノカミ)
詳細は不明ですが、おそらく「天照大神(アマテラス)」と同じ神様ではないかと考えられます。
アマテラスは、すべての命にとって不可欠な太陽の女神です。アマテラスは現在まで続く天皇家の祖先(祖神)とされています。
弟のスサノオが天界で暴れたことに心を痛めたアマテラスは岩穴に引きこもってしまいます。
太陽神がいなくなったことで世界は真っ暗になり邪悪がはびこりました。
そこで、ほかの神々が岩穴の前で宴(うたげ)を開いて、宴の様子をチラッと見ようとしたアマテラスを岩穴から引き出し、世界に太陽が戻りました。
この「天岩戸」伝説はとても有名です。
アマテラスは「国土安泰」「開運」「勝運」などのご利益で有名です。
月神(ツキノカミ)
詳細は不明ですが、おそらく「月読命」(ツキヨミ)と同じ神様だと考えられます。
イザナギという神様が黄泉の国から帰ったとき、その汚れを洗い落したとき、右目からアマテラス、左目からツキヨミ、鼻からスサノオという神様が生まれました。
太陽の神アマテラスは、月の神ツキヨミの姉にあたり、天界でいちばん偉い神様です。
ある日ツキヨミはアマテラスの命令で、保食神(ウケモチノカミ)に会いにいきました。
喜んだ保食神は口から様々な食べものを吐き出し、ツキヨミをもてなそうとしましたが・・・。
ツキヨミは「吐いた物を食べさせるとは汚らわしい!」と怒って保食神を切り殺してしまいます。
アマテラスは怒り、ツキヨミとは不仲になってしまいました・・・。
この事件をきっかけに昼と夜が分かれたと伝えられています。
ツキヨミは、交通安全・縁結びなどの神様として有名です。
歴史
1178年(治承二年)2月、当時の世を支配していた平家の打倒を企てたとして、3人(藤原成経、平康頼、僧俊寛)が硫黄島に流されました。
藤原成経と平康頼は京に帰りたい一心で、この熊野神社を建てて神仏に祈ったと伝えられます。
俊覚はお坊さんなのに、なぜ一緒に祈らなかったのでしょう。不思議です。
私が興味深いと感じたのが、熊野神社を立てた位置です。
和歌山県の熊野本宮と熊野新宮と地理的に非常に似た位置に、硫黄島の本宮(俊寛堂)と熊野神社が建っているのです。
下の地図は熊野神社の境内にあったものです。
2人の祈る気持ちは通じたのか、後に京に帰ることをゆるされましたが、俊寛だけは許されませんでした。
「信じる者は救われる」ということでしょうか。俊寛は孤独の中で苦しみながら、一人ぼっちで硫黄島で亡くなりました。
俊覚堂に行くと、そんな俊覚の寂しさがヒシヒシと感じられるような気がします。
彼らを島流しにした平家の力も衰え、7年後の1185年4月、源氏が壇ノ浦の戦いで平家を滅ぼします。
壇ノ浦の戦いで、安徳天皇は海に飛び込んで亡くなったことになっていますが、一説では硫黄島に逃れたとする説もあります。
その説によると、安徳天皇はこの熊野神社の場所を御殿として住んでいたと伝えられます。
熊野神社の境内には、安徳天皇の息子「隆盛親王」のお墓もありました。
安徳天皇陵
熊野神社から歩いてすぐの場所に安徳天皇と家臣たちのお墓があります。
熊野神宮を参拝したら、ぜひこちらにもお立ち寄りください。
こちらが入口です。
お墓なので撮影するのを控えたのですが、実際のお墓は石が積まれただけの、とても小さくて簡素なものです。
お墓は大人の腰の高さもありません。「これが果たして皇族のお墓なのだろうか?」と思わずにはいられません。
皇族ならもっと丁寧に葬られても良いのではないかと感じます。
ひょっとすると、硫黄島に流れ着いたのは安徳天皇ではなく、普通の平家の落人だったのではないでしょうか。
それが時代の流れとともに語り継がれ「安徳天皇が逃れてきた」と話が大きくなったのかもしれません。
九州には安徳天皇が逃れたという場所がいくつもあります。
例えば、鹿児島県垂水市には安徳天皇が硫黄島から更に逃れ、亡くなるまで住んでいたという場所があります。
なお、現在は照国神社(鹿児島市)がこの熊野神社を管轄しています。
御朱印情報
社務所はありません。
熊野神社の参拝情報
住所
鹿児島県鹿児島郡三島村硫黄島29
地図
安徳天皇を祭る立派な神社
周辺の観光スポット
東温泉
絶景オーシャンビューの露天風呂!
俊覚堂
鹿ヶ谷の陰謀で島流しされた僧・俊寛が暮らした庵の後。
坂本温泉
干潮の時に入浴できる(?)天然の温泉。
周辺の宿泊ホテル
島宿ほんだ
硫黄島港から歩いてすぐの場所にあるアットホームな民宿。
硫黄島観光地マップ
硫黄島でゆったりした島旅を楽しみませんか?